こんにちは。
 昨日の記事の続きです。

 膝に変形があるとどのように痛みの原因となるですが。
 変形はほとんどはO脚変形なのでO脚変形で説明させて頂きます。
 以下のスライドを見て下さい。
 スライド6
 O脚変形があると、荷重線(重心の位置を通る線)が内側に寄っていきます。
 正常では膝ではちょうど中央(レントゲンでいう脛骨の真ん中の山となっている部分)を通ります。
 すると、スライドの通り、膝を内反させようとする力がかかり、立った時や歩いたときなどに膝の関節にかかる力が内側に集中してしまいます。
 これが何年も続くと、クッションの役割をしている内側の半月板や軟骨が摩耗してしまい、骨がむき出しになってしまい、体重をかけたときに内側の痛みが出てしまうようになります。
 さらに上のスライドの通り、O脚が存在すると、変形性膝関節症になるリスクが6倍以上となります。

 これを食い止めるには根本の原因のO脚を治す、つまり荷重線を膝の真ん中に持ってくる必要があります。
 手術以外の方法は大きく二つあります。
 一つ目は、足底挿板(インソール)です。
 スライド8
 上のスライドの通り、踵の外側を上げるような足底挿板を靴の中に中敷きの替わりに入れると、立った時に膝に外反する力がかかります。
 そうすることによって、荷重線が外側に移動します。
 InkedIMG_1500_LI
 これは左膝がO脚変形している私の足底挿板です。
 後ろから見たところです。
 水色の下の部分の白色の部分がわざと外側が厚くなっております。
 IMG_1501
 横から見たところです。

 もう一つは歩き方(あるいは走り方)です。
 スライド7
 スライドの①と②は痛い方に単純に負担がかからないようにするためだけですね。
 ③、④と⑥は体重を足の内側にかかるようにしています。
 これは上の足底挿板で起こることと同じです。
 膝に外反する力がかかるので、つまり内反する力が減ります。
 
 O脚変形があると、股関節が外側にねじれ、歩くときにつま先が外側に向きやすくなります。
 いわゆるがに股歩きです。
 これを修正するために⑤が必要となります。

 ただこれだけのことを考えて歩いたり走ったりするのは大変です。
 ほぼ不可能かと思います。
 リハビリの先生と一緒に練習する必要があると思います。
 
 私は足底挿板を付けたうえで、足の親指側に体重を乗せて、ときどき目線を下にして、つまさきが進行方向に向かっているかをチラッと確認します。
 これだけで走っているときの痛みを軽減させることが可能です。


  私は西宮の西宮回生病院で診療をしております。
  https://kaiseihp.jp/