こんにちは。
 非常事態宣言が大阪では延長されそうです。
 私は医療従事者ということで先週にワクチンの2回接種を終えました。  
 2回目は1回目と同様に注射部位の筋肉痛と1回目には無かった翌日の頭痛と全身倦怠感がありました。

 さて今回は先日に今の病院のスタッフに話をした勉強会の中から変形性膝関節症などに対する膝周囲骨切り術について説明をさせて頂きます。
 膝周囲骨切り術は文字通り膝を中心としたX脚やO脚を膝周囲の大腿骨や脛骨を骨切りし矯正して真っすぐに戻す手術です。
 変形により生じた疼痛をその疼痛の元となった変形を矯正することにより症状を治す手術です。
 今回は変形性膝関節症を中心に話をしますが、他にも外傷性や先天性に変形することもあるのですが主には中高齢を中心とした変形性膝関節症に対して行うことが多いです。
スライド54
 変形性膝関節症(Osteoarthritis:OA)は主にO脚変形(内側型OA)が多く、スライドの写真は関節鏡の写真ですがその写真の通り外側の正常の白いツルッとした軟骨が剥がれて内側のように軟骨の奥の赤い骨が剝き出しの状態となります。よく見ると半月板のほぼ無くなっています。
 軟骨と半月板はクッションの役割をしているのでこのクッションの力が無くなり大腿骨と脛骨の骨自体に直接体重をかけたストレスがいくので痛くなります。
スライド55
  変形性膝関節症の痛みの原因としては多くは上の3つに分けられると考えています。
  1つ目は筋力低下や可動域(ROM)制限です。
  2つ目は上で説明した体重をかけたストレスが骨にいくことにより関節包の裏打ちの滑膜炎を生じてしまい起こる痛みです。  
  3つ目は今回の内容に中心となるO脚(内反)やX脚(外反)変形によるものです。
 治療はまずは保存的治療です。 
 1つ目と3つ目は装具(おもにインソールを用います)やリハビリによるものとなります。  
 2つ目は当科では関節内にヒアルロン酸注入を行います。 
 これらの治療にあまり効かない人や症状により活動が制限されてしまう人は手術の適応になります。
 手術としては人工膝関節か骨切り術の2つに分けられます。
スライド56
 人工関節は傷んだ膝表面の骨を大腿骨と脛骨ともに骨切りし代わりに金属を埋め込み新たな関節を作る手術です。
 この手術をすると自分の関節はなくなるのと埋め込んだ金属と金属の間に軟骨と半月板の代わりのクッションとしてポリエチレンを入れるのでこの摩耗を抑えないといけないので(摩耗すると早くに再手術になってしまうので)、走ったりしゃがんだりなどの運動を制限されてしまいます。
 よって、スポーツや重労働を行う人に人工関節をしてしまうと活動が制限されてしまうので関節温存手術である骨切り術の適応となります。
 骨切り術は変形したO脚やX脚を矯正する手術で上述した変形という痛みの原因を取り除く手術です。
 原因を取り除くだけで直接痛みのある場所を治していくわけではないので(半月板の処置などは行いますが)、術後に筋力が落ちてその状態で歩くと軟骨を摩耗することになるのでリハビリにより安定した歩行を獲得することが必要になります。
 また骨切り術は骨癒合するまでに術後の安静期間があるので入院期間も少し長くなります。
 だいたい全荷重までに術式にもよりますが3~5週かかります。
 走ったりするには4~5ヶ月かかります。
 スライド57
 骨切り術は変形があまり進行していない末期までの状態の方が良い成績が得られると言われているのでどちらかというと若い人になりますが、活動レベルが一番考えることです。
 やはりスポーツ(走ったりしゃがんだりジャンプする競技)や登山や重労働などをしている人は年齢にかからわず骨切り術を考慮することになります。
 今までに私は最高79歳の人に骨切り術を行ったこともあります。
 今回はこの辺で話を終えて次回に骨切り術について詳しく述べていきます。

私は普段は神戸のJCHO神戸中央病院で診療をしています。
  https://kobe.jcho.go.jp/
非常勤医師として西宮の西宮回生病院でも継続して診療をしております。
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