こんにちは。
完全に梅雨に入りました。
私は新しい病院での諸々の準備を終えてようやく自分自身の仕事に完全に集中できるようになってきました。
今回は前回の続きでO脚X脚などの膝周囲の変形に対する骨切り術について説明させて頂きます。

膝関節周囲の変形ですがO脚(内反)・X脚(外反)変形と一重に言っても大腿骨側のみ、脛骨側のみ、大腿骨と脛骨側どちらもというようにそれぞれ3パターンの変形パターンの計6つの変形パターンがあります。
骨切り術もそれぞれの変形パターンに合わせて骨切りする場所が異なります。

O脚(内反)変形は主に脛骨側の変形が多いです。
なので脛骨側を骨切りする場合が多いです。

X脚(外反)変形は大腿骨側が圧倒的に多いです。
なので大腿骨を骨切りする場合が圧倒的に多いです。

これまで変形性膝関節症の手術的加療はほぼ人工関節でした。
現在は骨切り術が少しずつ増えていますが未だに人工関節の方が多いです。
何故かというと10年以上前の骨切り術は骨切りカットする面が1面だけで固定材料も良いものが無かったので術後は丸々2ヶ月以上は体重を全くかけれなくてその後に筋力低下も起こして良い術後成績を得られなかったのです。
しかしスライドのように骨切り部を2面カットとしさらに優れたプレートの固定力により早期荷重と安定した骨癒合を得られるようになりました。

これは私が行った高位脛骨骨切り術(内側からの骨切り部を開大させて矯正する)です。
Open wedge high tibial osteotomy(OWHTO)です。
術前に赤い荷重線のラインが膝の内側を通っているのが術中にわざとやや外側に荷重線に行くように
矯正してから開大部に人工骨を入れてプレート固定します。
この手術が今現在も骨切り術の中では最も行われている術式です。

この術式では良好な成績が得られている一方で合併症についても指摘されています。
一つは矯正角度(開大幅)が大きくなるとヒンジ骨折のリスクが高くなり術後の荷重時期や骨癒合時期が遅れてしまうことがあります。
また膝蓋腱の脛骨粗面の付着部が矯正することにより遠位(足側)に移動することにより膝蓋腱が緊張しやすくなり大腿膝蓋関節(PF関節)にかかる圧が上昇しPF関節症が進行し数年後に膝前面痛をきたしたりすることが言われています。

上記のようなOWHTOでの合併症の一つのPF関節症の進行を防ぐためにスライドのように2面カットを下に切り下げる粗面下骨切りをおこなうことにより矯正しても膝蓋腱付着部である脛骨粗面の移動が無くなりPF関節への影響を無くすことが出来ます。
この骨切りでは切り下げた部分が薄くなるのでスクリューの追加が必要になりますが合併症を一つ無くすことにつながるので現在はこの方法で行っております。
Open wedge descending tubercle osteotomy(OWDTO)です。

これは私が行ったOWDTOです。

Takeuchi, Ryohei, et al. "A novel closed-wedge high tibial osteotomy procedure to treat osteoarthritis of the knee: hybrid technique and rehabilitation measures." Arthroscopy techniques 3.4 (2014): e431-e437.
もう一つの術式としてHybrid closed HTOがあります。
外側から骨切りをして矯正角度分の骨を切除して空いた部分を閉じて矯正する方法です。
ヒンジ部を上記のスライドのCのように少し中にすることにより外側を閉じてヒンジ部より内側が少し空くのでHybridと名付けられたようです。

この方法ではヒンジポイントの位置を変えられるので矯正幅を小さくできます。
また膝蓋腱の脛骨粗面付着部が上前方に移動することによりPF関節の圧を少なくすることが出来PF関節症を逆に改善につながります。
よってこの方法はOWDTOやOWHTOで開大幅が大きい症例やPF関節症が強い症例に行います。

さらに脛骨骨切りのもう一つの術式として、上記スライドのようなものもあります。
関節内の変形に対して行うものです。

大腿骨側にもO脚(内反)変形もあるような高度内反膝に対しては大腿骨側を外側からclosed wedgeを行い、脛骨側と合わせて骨切りを行います。

X脚(外反)変形には一般的に内側から大腿骨遠位を骨切りする方法が用いられています。

以上のように様々な骨切りを組み合わせて行うことにより様々なパターンの変形に対して対応します。
私の適応は上記スライドの様に行っております。
それぞれの患者さんの活動レベルや変形様式に応じて手術を選択させて頂いております。
私は普段は神戸のJCHO神戸中央病院で診療をしています。
お待ちしております。
完全に梅雨に入りました。
私は新しい病院での諸々の準備を終えてようやく自分自身の仕事に完全に集中できるようになってきました。
今回は前回の続きでO脚X脚などの膝周囲の変形に対する骨切り術について説明させて頂きます。

膝関節周囲の変形ですがO脚(内反)・X脚(外反)変形と一重に言っても大腿骨側のみ、脛骨側のみ、大腿骨と脛骨側どちらもというようにそれぞれ3パターンの変形パターンの計6つの変形パターンがあります。
骨切り術もそれぞれの変形パターンに合わせて骨切りする場所が異なります。

O脚(内反)変形は主に脛骨側の変形が多いです。
なので脛骨側を骨切りする場合が多いです。

X脚(外反)変形は大腿骨側が圧倒的に多いです。
なので大腿骨を骨切りする場合が圧倒的に多いです。

これまで変形性膝関節症の手術的加療はほぼ人工関節でした。
現在は骨切り術が少しずつ増えていますが未だに人工関節の方が多いです。
何故かというと10年以上前の骨切り術は骨切りカットする面が1面だけで固定材料も良いものが無かったので術後は丸々2ヶ月以上は体重を全くかけれなくてその後に筋力低下も起こして良い術後成績を得られなかったのです。
しかしスライドのように骨切り部を2面カットとしさらに優れたプレートの固定力により早期荷重と安定した骨癒合を得られるようになりました。

これは私が行った高位脛骨骨切り術(内側からの骨切り部を開大させて矯正する)です。
Open wedge high tibial osteotomy(OWHTO)です。
術前に赤い荷重線のラインが膝の内側を通っているのが術中にわざとやや外側に荷重線に行くように
矯正してから開大部に人工骨を入れてプレート固定します。
この手術が今現在も骨切り術の中では最も行われている術式です。

この術式では良好な成績が得られている一方で合併症についても指摘されています。
一つは矯正角度(開大幅)が大きくなるとヒンジ骨折のリスクが高くなり術後の荷重時期や骨癒合時期が遅れてしまうことがあります。
また膝蓋腱の脛骨粗面の付着部が矯正することにより遠位(足側)に移動することにより膝蓋腱が緊張しやすくなり大腿膝蓋関節(PF関節)にかかる圧が上昇しPF関節症が進行し数年後に膝前面痛をきたしたりすることが言われています。

上記のようなOWHTOでの合併症の一つのPF関節症の進行を防ぐためにスライドのように2面カットを下に切り下げる粗面下骨切りをおこなうことにより矯正しても膝蓋腱付着部である脛骨粗面の移動が無くなりPF関節への影響を無くすことが出来ます。
この骨切りでは切り下げた部分が薄くなるのでスクリューの追加が必要になりますが合併症を一つ無くすことにつながるので現在はこの方法で行っております。
Open wedge descending tubercle osteotomy(OWDTO)です。

これは私が行ったOWDTOです。

Takeuchi, Ryohei, et al. "A novel closed-wedge high tibial osteotomy procedure to treat osteoarthritis of the knee: hybrid technique and rehabilitation measures." Arthroscopy techniques 3.4 (2014): e431-e437.
もう一つの術式としてHybrid closed HTOがあります。
外側から骨切りをして矯正角度分の骨を切除して空いた部分を閉じて矯正する方法です。
ヒンジ部を上記のスライドのCのように少し中にすることにより外側を閉じてヒンジ部より内側が少し空くのでHybridと名付けられたようです。

この方法ではヒンジポイントの位置を変えられるので矯正幅を小さくできます。
また膝蓋腱の脛骨粗面付着部が上前方に移動することによりPF関節の圧を少なくすることが出来PF関節症を逆に改善につながります。
よってこの方法はOWDTOやOWHTOで開大幅が大きい症例やPF関節症が強い症例に行います。

さらに脛骨骨切りのもう一つの術式として、上記スライドのようなものもあります。
関節内の変形に対して行うものです。

大腿骨側にもO脚(内反)変形もあるような高度内反膝に対しては大腿骨側を外側からclosed wedgeを行い、脛骨側と合わせて骨切りを行います。

X脚(外反)変形には一般的に内側から大腿骨遠位を骨切りする方法が用いられています。

以上のように様々な骨切りを組み合わせて行うことにより様々なパターンの変形に対して対応します。
私の適応は上記スライドの様に行っております。
それぞれの患者さんの活動レベルや変形様式に応じて手術を選択させて頂いております。
私は普段は神戸のJCHO神戸中央病院で診療をしています。
https://kobe.jcho.go.jp/
非常勤医師として西宮の西宮回生病院でも継続して診療をしております。
https://kaiseihp.jp/
神戸中央病院では
月曜日朝(受付8時30分~11時30分)
木曜日昼(受付12時30分~15時30分)
金曜日朝(受付8時30分~11時30分)
西宮回生病院では
水曜日昼夕(受付13時~17時)
で外来診療を行っております。
お待ちしております。
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